第58章 風邪。*茶倉
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「あやつらにお前を託したのは間違いだったのか…?」
はあっとため息をつく人影が見えた。
いつか夢の中で見た、あの人だ。
ーあなた、誰?
「…!?」
驚いたように振り返る。
ーえ、私…?!
まるで鏡を見ているかのように私にそっくりだった。
ー私の中に住んでいるの?
なんてそんなことあり得ないでしょ。
何言ってんだろ。
「ああ、そうだ。…私はお前の一部だ。」
あれ?そうなんだ。
ーじゃああなたも優なの?
だったら変わってほしい、なんて。
逃げ出したいんだ、私は。
「いや、私は桜花。お前であってそうではない。」
ー?
「意味がわからないという顔をしておるな。…無理もない。」
ーどういうこと?
桜花は私のことを何か知っているのだろうか?
「…いずれ知るときがくるはずじゃ。」
くるりと私に背を向けて、去っていく。
私はそれを見送った。
なんだろう。
胸がざわめく。
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