"元"は夢を追いかける【HUNTER×HUNTER】
第2章 1章-夢は夢のまま
- 1話 -
ちょうど太陽が真上に上がりぎらぎらと地面を照らす正午
カランカランとお店の扉につけたベルが休みなくなり続ける
暑いこの時期はカフェにとって稼ぎ時なんだよね
『いらっしゃいませ!』
「やぁ久しぶりだね❤︎奥の席空いてる?」
もう何度目かもわからないベルの音に心の底からの笑顔でお出迎えするとそこには常連客のヒソカさん
席へと案内する私の後ろを相変わらず派手な彼は真っ黒な長髪と猫目の美人さんを連れついてくる
『ご注文は?』
「アイスコーヒー2つ♣︎」
『かしこまりました』
ぺこりと頭を下げた私が厨房へと戻るとそれを見計らったように会話が始まる
この店も闇取引に使われるようになっちゃったか。
周りとは確実に違うオーラを持った2人を横目に今日も普通の生活をおくるため知らんぷりをきめた
そういえば、思っていたよりもマフィアやハンターが来て最初は驚いたな
一般人になったはずなのにそんな気がしなくて、元旅団員だと気づかれないように必死だった
「今夜?」
「うん♦︎よろしく頼むよ」
ついつい耳にしてしまったのは、おそらく計画実行の時間だと思う
紙に書くとか念を使うとかもっと工夫すればいいのにっと心の内で呟きながらアイスコーヒーを机にのせた
『どうぞ。アイスコーヒーです』
「ありがと❤︎ところで、髪切った?長いのも良かったけどそっちも可愛い♣︎」
『あはは、ありがとうございます。でも、可愛いだなんて言われたら調子乗っちゃいますよ』
ヒソカさんはいつもどうりフレンドリーに話しかけてくれるけど、今日は隣の人の視線が辛い
え、何?
なんでそんなに見てくるの?もしかしてバレてる?
『じゃあ、私は仕事に戻りますね。どうぞごゆっくり』
「バイバーイ❤︎」
いつもなら長々と世間話を早々に切り上げ接客業に戻る
そろそろここも危なくなってきたのかもしれない。
『はぁ。移転したほうがいいのかな。』
この街結構好きなんだけどなぁ
この店オリジナルの甘いホットケーキと小さな苺のショートケーキをお皿にのせて、お客様の元へと運ぶ
その最中も今、店にいるマフィア達から目を離さない
もし、店で殺しなんてされたらたまったものじゃないからね。