第13章 自分の気持ち*
「桜っちー!!まりなさん!こっちっスよー」
黄瀬君の他に笠松先輩と森山先輩もいる。そっか…今日は皆私服だ。初めて見る…
「どうも!こんにちは!いつも桜がお世話になってます!」
「矢野!お前も今日部活がオフなんて運命としか言いようがない!」
「ありがとうございますっ!相変わらずですね…森山先輩は!」
森山先輩のアタックも虚しく…サラッとまりなにかわされた。
「桜っちの私服見るの初めてっス。大人っぽいっスね!」
「そうかな…?ありがとう。黄瀬君もやっぱオシャレだね。」
いつも制服姿と部活の時の練習着しか見た事ないから凄く新鮮。真っ白なパンツとピンクのTシャッツに薄手の黒のカーディガンを羽織ってる…かっこいい。その言葉しか似合わない。
それに比べて私は…
もっとちゃんとした格好でくれば良かった…急いで出たから着替える暇もなかった。
「今日桜っち…いつもより背高いと思ったらヒール履いてるんスね!よく履くの?」
「うん…」
……
なんか変に緊張して話が続かないっス。桜っちの私服を見た時これは、ヤバいと思った…カーキのリネン素材のシャッツにボタンを二つ外したそこから桜っちの綺麗な鎖骨がチラッと見える。黒の細身のパンツに白のパンプスを合わせたファッション。
ヤベェ…興奮してきた。誰にも見られたくない。桜っちのこんな姿見たら世の男共は皆桜っちの虜になるっスよ…
「はぁ〜。」
「どうしたの黄瀬君?」
そんな事を考えているなんて桜っちは想像もつかないんだろうな。でも今日の桜っちはいつもと違った。頬を染めてあんまり俺の方を向こうとしない…どうしたんスか?
そんな顔されたら俺…自分の気持ちを抑えられなくなりそうっス。そーゆうの全然わかってないもんな…桜っちは。
「なんでもないっスよ。行こう桜っち。」
でも一つだけ気がかりな事がある。俺の心がざわつく…普段アクセサリーをつけない桜っちの右手の薬指には指輪がつけられていた事を。