第17章 恋愛初心者*
「桜〜!何考えてたんスか?!」
黄瀬君に、大事な彼女って思われてて嬉しいなんて…そんな事恥ずかしくて口に出せない。
でも…ひとつだけ、素直に言える事がある…
「大好きな二人に囲まれて、私…幸せすぎて死んじゃうかも……なーんてね…?」
そう言うと私達の周りだけ、非現実的なまでにシンとしてしまった。
私今、もの凄く変な事言ってしまったみたいだ…どうしよう?取り消すにも本当の事だし…嘘って言うのも嫌だ。
「ヤバっ…俺…今マジで感動してるっス…まりなっち…ごめん。桜の事…ギュってして良いっスか?」
「ダメ!私も今、桜に抱きつきたいから!」
そう言って、二人は…同時に私を抱きしめてくれた…きっと、はたから見たら、おかしな三人組だと思われるんだろうけど…この際どうでも良いや…だって…幸せなんだもん。
「二人共…苦しいよ〜!」
もう…黄瀬君もまりなも、加減を知らないんだから…
でも…この苦しさには、愛情が沢山詰まってるのが痛いほど伝わってくる。
「だいすき…」
「俺もっスよ…」
「私も…」
季節は、少し肌寒くなってきたけど…私は、充分すぎるほどの温かさに包まれて…一層、三人の絆が深まるのを感じた…