第16章 好き。すき。スキ*
好きな人にスキって言われるのって、こーんなに幸せな事なんスね?全然知らなかった…
いつもカッコよくて、大きい存在の桜っちが…今は、俺の腕の中で少し震えながら小さくなってるのが堪らなく可愛いくて、守ってあげないとって思う。
「私で…良いの…?」
「桜っちが良いんスよ…」
つーか、桜っちじゃなきゃ、なんの意味もない。
「私…わがままだよ?しかも結構な短気だし…本当に本当に大丈夫?」
フッ。そんなの知ってる。そんな所も好きっスから…
「ワガママなくらいが丁度良いっス。短気も、誰かを守るために怒ってるんだから…でも、怒るなら…俺の前にして?じゃないと…心配になっちゃうから。」
くっついてた体を少しだけ離して、桜っちの顔を除くと…
月の光が思いがけない明るさで差し込んで…桜っちの顔を映し出している…
キレイ…
ヤバい…このままキスしたい…
抑えていた欲情が、今まさに溢れでてきてる…
「私…黄瀬君を幸せにする!ちゃんと私が…黄瀬君を守るから!だから…よろしくお願いします!!」
ホラ…そーゆう事…普通言う?
それは、俺のセリフっスよ?
でも、きっと…そんな桜っちを好きになったんだ…
「桜っち…俺が、それ以上にアンタを幸せをするっスよ…」
今日は、これで我慢してあげる。
俺の性格的には、よくやった!って言ってあげたいくらい…大事に大事に…
桜っちのおでこにキスをした…
「桜……スキ。」
それを知っているのは、俺と桜を祝福してくれているかのように…優しく照らす月だけだった…