第8章 第6章 少しずつ狂う時間
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私は戦闘も出来ないのにずかずかと先頭に立って先へと進む。
あともう少しで出口へ着く分岐点へと着いたあたりで、フィーのイベントが始まった。
ちなみに、私はいつの間にか一番後ろを歩いている。
「少年、随分と大人しいな。具合でも悪いんじゃないのか?」
「元々こうよ二号は」
「やめろよ。二号なんて可哀想だろ。」
ベルベッドとロクロウがそう言い争っている。
「アンタの名前の意味は?」
私がちらりと後ろを見ると、フィーが立ち止まっていた。
「兄弟の六番目でロクロウだが?」
「それと同じよ」
フィーは赤い植物に興味を示すんだよね。
「同じじゃないだろ。」
ベルベッドたちはやっぱり気付かないでどんどん歩いていく。
本来なら、ここでフィーは私たちとはぐれるところ。
でも、私はそのことを知っているから
「二号。」
そう呼び止める。
「・・・・・・!!」
フィーが驚いたように口を手で塞ぐけど、彼の目の前にも後ろにもモンスター(ここではスコーピオンだけど)はいない。
「?」
私が不思議がっていると、すぐ後ろでアイゼンが魔法で倒していた。
「大丈夫か、少年! モードレット!」
ロクロウとベルベットも駆けつける。
「なんで声を上げないの! 気付くのが遅れてたら、死んでたわよ!」
本来フィーだけが怒鳴られるシーンで、私もベルベッドに怒られていた。
「命令だから『口を聞くな』って」
「ごめんなさい。気付かなかった私が悪い。」
落ち込んだフィーと並んで、私も謝る。
「あれは違うっ! あんたは・・・・・・なんでそんな!」
まだ、この頃のフィーは自我封じが解けていないからなぁ。
「落ち着けベルベッド。モードレットも気にするな。こうして間に合った訳だしな。」
ロクロウがわなわなと怒っているベルベッドを諫め、私にそう言ってくれた。
「お前対魔師に使役されていたのか?」
アイゼンの問いにフィーが頷く。