第3章 神威×吉原ラメント
~谷中 奏~
「本当に綺麗だね…、奏ちゃんは太陽や月じゃなくて【地球】なのかな?」
「誰にも汚されない様に、誰にも壊されない様に、皆から大事にされていて…まさに【地球】だ」
「でも、その【地球】を俺は俺の物にする為に拐いに来ちゃった」
ニコニコと何を考えているのかすらも解らない、不気味な微笑みを浮かべてそう囁く。
私を…拐いに来たの…?
何時も何時も考えていたの、誰か一人の男性に愛されたいと…咲いていたいと尊い思いを抱いていた。
でも…その気持ちは皆を傷付けてしまうから、ずっと幼い頃から籠の中で人を見るだけにしていた。
あの男性はあの花魁様が好きなのね、とか、あの花魁様はあの男性と惹き合えてる、とか。
ツマラナイ事だらけの籠の中で独り、ツマラナイ事だらけの運命の中で独り、全てが全て私を嫌っていて面白く無かった。
そこで一人の…私の運命を変える【王子様】が今、目の前に現れてくれたの。
「御願い…、もうツマラナイ事だらけで飽きてしまいましたの…、私を貴方で埋もれさせて」
「予想外の返事だよ、嫌がるかと思った」
「だって…嫌なの、私を独りにしないで…誰かと一緒に居たい、独りはもう懲り懲り…」
そう言って【王子様】は私に白い手を差し出して囁いた。