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歌を奏でて(詰め)

第2章 スクアーロ×吉原ラメント


溜め息を吐きながら細い身体を覆うように抱き締める…まともに抱き締めるのはこれで初めてかも知れない。

今まで尊い存在で、俺に何て見向きもしない孤独な花魁なのかと思っていたが…違うのかも知れない。

現に俺の事を必要としているじゃねぇか…、いや、俺の事を【利用】しているとも言えるがな。

「……好きです、愛してますよ…だからスクアーロ殿も私の事を愛して下さい…」

「貴方以外に…行く宛が無いのです…、ねぇ、駄目でしょうか…」

ねだる様に甘えた声で囁く女は俺の頬に手を移させて顔をなぞっていく。

「私を誘って……」

そこで断ってしまったら壊れそうで、無くなってしまいそうで、もう何も失いたく無いと言う願望が俺の中を巡る。

「…本当にお前は俺で良いのかぁ?」

「後悔……しても知らねぇぜぇ…」

女の綺麗な髪を撫でながら耳元で囁くと少しだけ口角を上げて妖しく微笑む。

「えぇ…、私をー……」

雨の音で消されそうな程に小さな声で、確かに俺に対して呟いた、俺に挑発的な笑みを浮かべながら。

~EИD~
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