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歌を奏でて(詰め)

第2章 スクアーロ×吉原ラメント


~スペルビ・スクアーロ~

その女は綺麗と言うには壊れ過ぎていて、醜いと言うには美し過ぎていた…そんな曖昧が混ざった様な儚い女に俺の心は揺れ動かされたんだ。

「良いですね…スクアーロ殿は御綺麗で、誰にでも好かれるのでしょう?」

悲しそうに微笑むその女は激しく打ち付ける雨に取り込まれていく…何でだ、どうしてこんなにも必要とする?

俺には女なんて必要としない、仲間だけで良い、そう…思っていた筈なのにこの女は俺の考えを狂わせていった。

「ねぇ…スクアーロ殿、私の事を買っては下さいませんか?」

俺の方に振り向く事すらしない女の口元は微かにだが何かを恐れている様に震えていた。

「お前は…本当に物好きだなぁ…」

「スクアーロ殿も私の事を言えはしません…」

ようやく俺の方を振り向いたかと思えば、雨では無く涙で顔を濡らしていた。

その姿すらも美しいと感じさせるこの女は本当に罪深いとも感じさせられた。

「駄目で…御座いますか…? 私には……」

そこで言葉を切り、俺の方へとその細い腕を伸ばしてくる…悲しげなその腕を振り払える訳も無く受け入れてしまう。

駄目だぁ…、俺は前々から…ずっとそうだ。

結局は甘くしてしまって……ちゃんと断れもしないじゃねぇかぁ…何時か本当に大変な事に成るまでは解らない…なぁ。
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