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歌を奏でて(詰め)

第6章 シーザー×ドーナツホール


~谷中 奏~

貴方が私の目の前から消え去ったのは、何日前、何ヵ月前、何年前だっただろうか。

まるで世界が止まってしまったかの様に鈍く遅く、私の人生は狂いだした。

何もかもが要らなくなってしまって、貴方を忘れようとしても逆に思い出してしまって。

何で…、あの時に私が止めていれば…まだ貴方は私の隣で以前の様に優しく微笑み掛けてくれたのだろうか。

それならば、もっと私の人生は輝いていて何時も楽しくて、辛い事なんて無かったとまでも思える。

だって私が落ち込んでいたら慰めてくれるし、喧嘩をしても貴方から謝ってくれるし、何をしても完璧に私を解ってくれていたもの。

「そんな事を思っても無駄…かな」

悲しくて仕方が無いの、貴方が隣から消えるだけでこれ程…こんな気持ちになるだなんて思っていなかった。

ジョセフやスージーQが一緒に居てくれるけど、それでも嫌なものは嫌なのよ…貴方が一番良く理解していたでしょう?

私が我が儘な事を。

「御願い…もう一度やり直させて……」

神様、本当に居るならば私は貴方に何度も問い掛けると思います。

何故、大切な人を失わなければいけないのかと。

何故、こんなにも明確な感情を抱いているのかと。
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