第5章 神田×ロミオとシンデレラ
「美しいモノに触れると棘が刺さってしまいますもの、それに貴方は…欲張らずに見ておきます」
「大きな箱より小さな箱の方が良いと言うじゃないですか、だから私は今の小さな幸せを大切にしておきますよ」
何故だろうか、その言葉を受け取りたく無いからだろうか…それは俺にも解らなかった。
「そんな理由で俺を断れるとでも思ったか? 自分の欲しいモノは自分で手に要れるし、その欲しいモノに好かれる様にする」
もっと愛されたい、そんな愛に餓えた俺だったからこそ出来たのかも知れない。
いっそ、お前の居場所までもを俺が奪ってしまおうか。
でもな…そんな事をするとお前に嫌われてしまうから、だから俺は優しく、奏が俺しか見れない様にする為にした。
「痛ッ…、噛み付かないで…苦いのは貴方と違って苦手なんです」
「俺も苦いのが好きって訳じゃねぇ」
綺麗な鎖骨付近に先程までは無かったモノが浮かび上がっている。
「はっ、上手く出来たな」
可笑しな笑い声を漏らしながら、立ち上がって扉の方へと歩いていく。
「え…、何を……」
「それが有れば誰にも手は出されねぇだろ、また消えた時に付けてやるよ」
そう言い放ち俺は久々に愉快な気持ちで奏の部屋を後にした、また来るであろう部屋はもう俺のモノ。
~EИD~