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歌を奏でて(詰め)

第5章 神田×ロミオとシンデレラ


~神田 ユウ~

「か、神田さん…あの、え?」

頭が散乱しているのか、何時もと同じ優しい微笑みを浮かべながらも冷や汗を首筋に伝わしている。

「何焦ってんだ…? 俺の気持ちは計算高いお前が一番良く理解してんだろ?」

そう妖しく、普段緩ませる事の無い口元を軽く緩ませて髪の毛の束に口付けを落とす。

「ふふ…、バレてましたか? でも素なのは素ですよ…元々あんな性格なんです」

面白げに言う女、奏は俺と同じエクソシストで有り…俺の想い人でも有る歳上。

今までは、じゃなくて本当は一目惚れだったんだろう、自分で言うにはなんだが結構な鈍感だと思う。

だから最近まで奏の事が好きだなんて気付きもしなかった…何か奏が俺の方を見てんな、…自意識過剰か?、なんて思ってたぐらいだ。

だから自分自身の気持ちを解った時は、そうだなって感心したり、今までの関係を壊したくないが為に偽っていたりした。

でもな…奏が俺の事を見てると、そりゃあ俺も一応と言うか…完全な健全男子な訳で。

それで今に至る。

「本当に…綺麗ですね、見ているだけで惚れ惚れしますよ」

「見てるだけで良いのか? 【本物】が今、お前の前に居るんだけどな」
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