第4章 高杉×ロミオとシンデレラ
~谷中 奏~
「高杉は良いですね、何処へでも自由に行けて…囚われる事も無く…楽しいでしょう、貴方は」
そう問い掛けると何時も何時も何が面白いのか解らないのだけれど、喉を鳴らして微笑みながら答える。
「そうだなァ…テメェよりは楽しい人生を送ってるのは確実だ、囚われの姫様よりかは…誰もが楽しいだろうよ」
「ふふ…、羨ましい限りですよ」
そう…囚われの姫様と言われた通りに私は今も逃げ出せない、逃げてしまったら…ただただ捕まえられるだけだろう。
だって、逃げてもどうせ手の中に有るのよ…私は。
「逃げようとしねェのは頭が可笑しくなっちまったからか?」
「えぇ、そうかも知れません、逃げようとするなんて無意味ですもの」
【悲劇の姫様】、【囚われの姫様】、そんな一風変わった呼び名が付けられている。
「普通の方に産まれたかった…、誰かと入れ替わってみたいものですねぇ」
だって私は、一つの小さな惑星の姫様だけれど…その惑星は腐ってしまった。
その腐ってしまった中に独りだけ存在する、存在してしまっているのが私。
もっと沢山の人と御話したい、もっと沢山の人と一緒に居たい、……そんな思いを抱いている時に彼は現れた。
私の人生を少しだけでも楽しませてくれる【役者】が。