第10章 トド松のかくれんぼ
トド松視点
今日はおうちデート!
主ちゃんと二人きり、居間でお土産のケーキを食べながら寛いでいる。
兄さん達は皆出かけているからイチャイチャ仕放題。
「うーん、悩むーー」
「さっきからずっと何見てるの?」
おそ松兄さんの漫画を読み終えた主ちゃんが、ボクの膝にちょこんと座ってきた。
ってか主ちゃん、少年漫画読むんだ?
うん…そのギャップ、ポイント高いよねっ!
「主ちゃんと旅行行きたいと思って。国内と海外、どっちがイイ?」
ボクは目次にページを戻し、主ちゃんに見えるように旅行雑誌を開いた。
「旅行っ?やったー!海外行きたいけれど、まずは国内がいいんじゃない?二人で旅行行ったことないし」
「じゃあそうしよっか?ボクさ、ご朱印集めしてみたいんだよねっ」
「じゃあご朱印集め兼温泉旅行にしようよ」
「いいね。すごくステキな旅行になりそう!…だけどね」
ボクは膝に座る主ちゃんをぎゅっと抱きしめた。
「いつか主ちゃんと、世界旅行に行きたいな!エベレスト登山、ナイアガラの滝、エジプトのピラミッド、それに、グランドキャニオン!!それから…」
「スゴイね…!一生かけても周り尽くせなそう!そんなに大きな夢があったんだ!」
「月の土地も買いたいな!」
「そ、そう…。でもね、トッティ」
主ちゃんはボクの腕を自分の胸元へ手繰り寄せる。
「わたしは…どこにも行かなくても…こうして部屋で一緒に過ごせるだけで…幸せだよ?」
「…主ちゃん」
トクンと胸が甘い痛みと共に波打つ。
もう、またそうやって、ボクの心をキミでいっぱいにする。
女の子なんだから、もっとワガママに、いっぱいおねだりしたっていいのにさ。