第57章 トッティとドキドキしたい時に読む話
ツリーは6色の光を順番に煌めかせたかと思うと、全色が混ざり合い一斉に輝き始めた。
ボク達7人は、そのあまりの美しさに言葉を失い、ツリーに目が釘付けになる。
「なんだか、赤、青、緑、紫、黄色にピンクって、六つ子のみんなみたいだね…」
「主ちゃん…」
主ちゃんが6色の光を目に反射させ、キラキラした瞳でボクを見つめている。
「フッ、ならばあのてっぺんにあるスターは…主…キミというオンリーワンの輝きだ」
「何言ってんの?イッタイなぁもう…雰囲気ぶち壊さないでくれる?ねぇ主ちゃん、ボク達が6色の光ならさ、あのお星様は主ちゃんみたいだねっ」
「トッティ……嬉しい」
「え?オレ同じ事言ったのに何で!?」
ボクの肩に頭を擦り寄せる主ちゃん。
「しあわせ…」
「うん、ボクも…」
「ねぇ、来年も…」
「そうだね…一緒に見に来よう」
ボクは主ちゃんの肩を抱き寄せた。
2人の体温が一つに重なる。
主ちゃん、ボクを…ボク達六つ子を受け止めてくれてありがとう。
ボク、キミのために、ワンランク上の男になってみせるよ。
沢山オシャレして、沢山ステキな所へ連れて行ってあげるから…。
ツリーが一際輝き、ボクらが逆光で暗くなった瞬間、
「!!」
そっと主ちゃんの唇を奪った。
「もう…トド松くんてば」
「えへへ、ねぇ、寒いからもっとくっついてよ」
ボクは彼女の腰に手を回す。
「あれ?そういえばおそ松くんたちは?」
あぁ、そういえばそんなクソ共も一緒だったっけ?
急におとなしくなったから、存在を忘れ去っていた。
ボク達二人が振り向くと、
「キャーーーツ!!??」
「うっわ、何これっ!」
吐血し倒れた兄さん達の血だまりが、辺り一面に広がっていた。
動かなくなった十四松兄さんの全身を纏う黄金色のLEDが、虚しく血の海を照らすのだった。
・・・