第7章 末弟とスイーツ
トド松視点
(よし、今日も一日がんばったー!)
ボクは、閉店の合図であるシャッターを下ろしてお店に戻る。
店内に入ると、カワイイエプロン姿の主ちゃんがニッコリ笑って出迎えてくれた。
「おつかれさま!今日も手伝ってくれて本当にありがとう!はい、これお父さんから」
一日分の給料の入った茶封筒を渡され、ボクは笑顔で受け取る。
「こっちこそありがとねっ!困った時はまたいつでも呼んでほしいな!」
「ありがとう。でも、バイトのシフトは平気なの?」
「えっ?あ、あぁそうそう!事前に言ってくれたらなんとか空けるからさっ!」
主ちゃんの実家はケーキ屋だ。
お母さんの体調があまり優れないらしく、娘である主ちゃんがパティシエであるお父さんのお手伝いをしている。
今日は、誕生日ケーキの予約が殺到したみたいで、ボクがヘルプで一日だけ働かせてもらうことになったんだ。
イチゴのヘタを取ったり、お皿洗いしたり、単純な作業ばかりだったけれど、大好きな主ちゃんとスイーツに囲まれて、ここはまるで幸せ空間!仕事は全然苦にならなかった。
ちなみに、バイトはまだ何にもしてなくて都心のオシャレなカフェで働いていると嘘をついている。
ま、そのうち本当に始めるけどねっ。
「えっと…今日は、どうする?部屋、寄ってく?」
少し顔を赤らめながら主ちゃんが聞いてきた。
「うーん。べつに、いいよ?」
(なんてねっ。このまま帰るわけないでしょ)
たまにこうしてお手伝いに来ているけれど、仕事を終えた後がボク達の本当の時間…。
二人きりの甘ーいごほうび。
ボクは、調理場からバレないようにそっとあるモノを持ち出して、二階にある彼女の部屋に向かった。