第49章 みんなよくやるよね… 一松
行為を終え身体を拭いてやりながら縄を解くと、主はすぐに抱きついてきた。
「ち、ちょっと待て!出かけるんだろ!とりあえず誰か帰ってくる前に服着ないと!」
「でも…眠いよぉ」
主はおれの腕の中、ウットリと幸せそうにまぶたを閉じる。
「おい?主!?」
よほどイキ疲れたのか、そのまま寝息を立てて眠り始めてしまった。
脱がすのは簡単だけど、着せるとなるとやっかいだ。
ひとまずソファーに寝かせてやり、ショーツのみ履かせた。
ブラジャーは難易度高いからラスボスにしようとデニムを履かせ始めると、誰かが階段を上ってくる足音がする。
(ヤ、ヤバい!!)
気づくのが遅かったせいでそのまま襖が開いた。
—ガラッ—
「フッ、帰ったぜ」
「死ねボケェッ!!!!」
「えぇぇぇえーーー!!??」
—ガシャーーンッ!—
階段の下で動かなくなるクソ松。
来たのがクソ松で本当によかった。
クソ松を殴るのなんて蚊を潰すのよりたやすい。
と、安心したのもつかの間。
今度は玄関から賑やかな声が聞こえてくる。
「ただいマーッスル!!」
「あれぇ?女の子の靴があるよ?」
「トッティ、そんな奇跡、僕達童貞が巣食う松野家にある訳ない…ってマジであるし!?」
「えー?じゃあ長男である俺が一番乗りー!」
童貞オールスター勢揃いである。
全身から冷や汗が流れ、ソファーで寝ている主の身体を必死になって揺さぶった。
「主起きろーーっ!!とりあえず服だけでも!服だけでも着てーーっ!!」
そんなおれの葛藤も知らず、幸せそうに眠る主…。
・・・
この後——愛する主の為に一松の拳は、血を噴き出しながらも振るわれ続けるのだった。