第21章 ※恋は桃色 トド松
トド松視点
(なに!?何なのアイツ!?また来てるし!!)
ボクは桃のタルトをつつきながら、遠くの席に座るにっくき男性客を監視している。
「あっははー!パフェうんまーー!!」
隣には、十四松兄さん。
ここは主ちゃんの実家兼働いているケーキ屋。
一人でスイーツを食べに行こうと向かっていたら、十四松兄さんに遭遇しちゃったんだ。
っつーかさ、十四松兄さん。
いい大人なんだから、サイフくらい持って出かけよう?なぜ弟のボクが奢る!?今夜の銭湯、ぜっったい兄さんに払ってもらうからな!!
「トッティ食べないのー?」
「あっ、食べるよ!ちょっと…考え事してただけ」
最近、ボクより少し歳上くらいの男がここの常連になったらしく、しょっちゅう見かけるようになった。
大抵ボクが食べに来ると決まって現れる。そして、いつも同じ席に座る。さも、ココ俺の指定席的な雰囲気を醸し出している。その態度にイラっとする。さらに許せないのは、ノーパソ開いてなんかやってる。家でやれよーー!!??それどこのライジングッ!?どーせ動画とかSNSだろ!?ここはなぁ、平日昼間の主婦の団欒!ママ友様がランチに使うんだよーー!!オマエ何主ちゃんに出来る男アピールしてんの!?しっかも何!?エッラそーにブランド物のシャツ着ちゃってさ!!どんだけ一軍アピールしたいの!?ぜんっぜん似合ってないから!シャツ着こなせてないから!むしろシャツに着られちゃってるから!ボクのマネキンコーデの足元にも及ばねーからっ!!!!
「ゼェ…ゼェ…」
「トッティ食べないのー?」
「えっ?た、食べるってば!そんなに急かさないで!」
パクッとタルトに乗っかっていた桃を食べると、爽やかな甘さが口の中に広がった。
でも、それに反し、ボクの心はどんどんどす黒くなっていく。