第3章 次男と浴衣
浴衣って本当に無防備な衣である。
カラ松くんの侵入を、いとも簡単に許してしまうなんて。
・・・
濃厚なキスで頭の中をトロトロにされ、抵抗も出来なくなっていた頃には、花火も終わってしまっていた。
はだけた浴衣は脱がされることなく、申し訳程度にわたしの肌を隠している。
ゆっくりとベッドに寝かせられると、スプリングが耳元で軋んだ。
薄暗い間接照明を纏ったカラ松くんが、なんだか色っぽく見えて、少しくやしい。
「主…綺麗だ…」
髪を掬うように撫でられる。
だんだん顔が近づいてきて、
「ん…」
また、長いキスが始まった。
唇が腫れるほど求め合っても、カラ松くんにはまだ物足りないみたいだ。
・・・
「ケホッ、ケホッ…!」
「だ、大丈夫か?」
激しいキスが続き、喉がカラカラになってしまった。
「ちょっと、喉渇いちゃったかも…」
「そうか。待っていろ」
横になっていると、冷蔵庫から冷えたペットボトルの麦茶を持ってきてくれた。
カラ松くんも喉が渇いていたようで、既に蓋は空いている。
「ありがとう」
受け取ろうと起き上がったのになぜか押し倒され、そのまま唇が重なり合う。
「!!」
口を塞がれた刹那、冷たい液体が口内を満たした。
不意打ちの口移しに、胸の鼓動が高鳴る。
「まだ飲み足りないか…?」
コクリと頷くと、満足気に微笑み、もう一度わたしの喉を潤してくれた。
「少し無理をさせたな。主、うつ伏せになれるか?」
「え?いいけど…」
(急にどうしたんだろ?マッサージでもしてくれるのかな?)
「しばらく休んでいろ」
カラ松くんは優しい声と共に、わたしの浴衣を静かにずらしてゆく。