第78章 ※おまけ ありがとうを君に
二回目もしっかりきっちりレシピ通りに作ったのに…
「またクソ固い…!」
「あっははーカッチカチ!!」
「ってかさっきと一緒だし」
「もーー二人が邪魔するからっ!」
八つ当たりしつつ一口味見。
いや美味しいけどさ。
ボクが追い求めているのはステマおばさんなのっ!
ムスッとしながらスマホで公式ステマおばさんのレシピを再確認。
「バニラオイルと、バターに卵に薄力粉、いちごパウダー、チョコチップ、ベーキングソーダ、ショートニング、ブラウンシュガーとグラニュー糖………やっぱり合ってるじゃん」
「トッティー!」
「なんで?どうして?ボクは、主ちゃんの隣で一体何を見てきたの!?」
頭を両手で押さえながらひたすら悩みまくる。
「トッティー!」
「可愛い天使の笑顔を振りまいてるだけだったのかな…」
「トッティー!」
十四松兄さん…さっきから五月蝿いよ。
かまってる暇なんてないんだけど。
「トッティー!」
スマホ画面とにらめっこしていたら、ずいっとチューされる勢いで笑顔が目の前に来た。
近い近い近い!!
なんなのさっきから!?
「……なぁに?十四松兄さん」
十四松兄さんは、テーブルの上にある小麦粉の袋を指差した。
「あれ、強力粉って書いてあるよ?」
「あ」
てへぺろりんっ!
ボクってばいっけなーい!
強力粉と薄力粉を間違えるなんて。
「トッティ…ドンマイ」
ほくそ笑んで嬉しそうに言うな闇松兄さん。
「あ、ありがとう。教えてくれて」
「ぼくも手伝ってあげるー!」
「…おれも。イヒヒ…」
「何その流れ!?余計なお世話なんだけど!?」
嫌な予感しかしない。
「卵ドーーーンッ!!」
「わあぁぁあー!!やめてやめてー!!」
その後、頼んでもいないのに十四松兄さんが卵を殻ごと材料に入れて生地を作ったり、一松兄さんが骨を強化とかほざいてにぼしを入れたり、迷惑行為の嵐でボクのメンタルは破壊されていった。
しかし、必ず最後に愛は勝つ。
散々妨害されながらも、なんとかステマおばさん風いちごチョコチップクッキーは完成したのだった!