第39章 陰る
今日はオフだ。
『出掛けようか?』
なんて言ってたけど、来たのは体育館。
もう着替えも済ませたのに、
『いいの?』と凛は首を傾げている。
申し訳なさそうに眉を下げて…。
「いいの。凛がバスケしてるとこ見るの好きだし。それに、部活が第一って約束した」
そう言うと顔を赤くしてニコリと笑った。
そりゃ、デートには憧れるけど…。
やっぱり、私に気を使わず、思いっきりバスケして欲しい。これは本心。
二人で体育館の扉をあけると、なんだかんだで皆が居て、
「お前らも来たのかよ」
「あれ?デートじゃないのー?」
なんてからかわれながら、凛もその中に入って行く。
今日は本当はオフなんだし、いいよね?
いつもは、
マネージャーとしてここにいるんだから、凛だけを見ているなんて出来ないけど、今日なら許されるはず。
舞台上に足を投げ出して座って、
彼が練習をしている姿を、バスケ部の皆を、存分に眺めていた。
オフなのにね。
皆、 本当にバスケが好きなんだなぁ。
自然と頬が緩んでいく。