第4章 従兄弟
ピンポーン!
チャイムを押すと伯母さんがふわりと素敵な笑顔で迎えてくれる。
「いらっしゃい」
私はあまり母の顔を覚えていないんだけど、お兄ちゃんが言うには、伯母さんはお母さんと似ているらしい。
姉妹なんだから、当たり前…かな?
「お邪魔します」
靴を脱ぎ、優しくて柔らかい雰囲気を持った伯母さんにつづいてリビングへ向かえば、
伯母さんとはとても似つかない従兄弟達の姿。
「おせーよ」
「なんでお前、制服なんだよ」
相変わらず、口の悪い従兄弟達。
なぜ、この人達はこうなったんだろう?
伯父さんだって、とても優しい人だ。
この人達の口が悪くなる要素がわからない。
ただ…
口は悪いけど、この従兄弟達、顔はとても良い。
だから、中学時代にはファンクラブ的なものもあったりして…そこの人達に私は、目の敵にされていた。
『いとこだからって調子にのるな』と…。
『べったりなのが気に入らない』と…。
嫌な事を思い出して、入り口で足が止まってしまっていた。
「ぼーっとしてんじゃねぇよ」
すかさず飛んできたデコピン。
「裕ちゃん、痛い…」
額をさすりながら、小さく訴えれば、
「お前…頼むからさ、もう『裕ちゃん』はヤメロよ」
と真っ赤な顔で抗議がかえってくる。
向こう側でクスクスと笑うお兄ちゃんと清志くん。
「今さら裕也って呼べないもん。宮地って呼ぶのも変でしょ?呼び方変えるのって難しいよ…」
「あぁ、もういいよ」
私の言葉に、呆れたように頭をボリボリと掻きながら、裕ちゃんはそっぽをむいてしまった。