第6章 Sixth sense
その後、実際にはたった数秒の沈黙が私にはとても長く感じられたけれど……
「ほうかぁ!」
豊久はとても嬉しそうに満面の笑顔を見せてくれた。
「嫌じゃ……ないの?」
「ないごてそう思う?」
「だって………」
何て言えばいいのか……戸惑う私の身体を豊久はまたぎゅうぎゅうと苦しい程に抱き締める。
「誉れじゃ!」
「………え?」
「まっこと誉れじゃ。
初陣で侍首を獲った気分ぞ。」
「それって……嬉しい…って事?」
「おう!
これ以上の褒美は無か。
を初めて貫く男に俺(おい)が選ばれよったと
信(ノブ)と与一に今直ぐ自慢してやりたか!」
いやいや、ホント……お願いだからそれは止めて。
私は照れ臭くて、恥ずかしくて、オロオロと困ってしまった。
だけど豊久はずっと欲しかったプレゼントを貰った子供のようにニコニコと笑っている。
そんな豊久の笑顔こそが、私にとっては最上のプレゼントだよ。
私の方こそ、これ以上無いご褒美を貰ったんだ。
「ありがとう……豊久。」
私は際限無く沸き上がる豊久への想いをその一言に込めて、大きな身体をそっと抱き締め返す。
「可笑しか事を言うのう……。
礼を言うのは俺(おい)の方ぞ。」
豊久は私の身体を這うようにスルスルと身を屈め、私の腰を両腕で抱え込んだ。
「大事に大事にせねばならんの。
が壊れて仕舞わんよう、大事に………」
そしてちゅっ…ちゅっ…と音を発てながら私のお臍の辺りに何度も何度も口付けた。