第2章 Second impact
良く良く考えたら、これって凄い事だよね。
だって私の目の前に織田信長が居るんだよ?
那須与一と島津豊久も居るんだよ?
覚悟を決めたら何だか落ち着いて来ちゃって、逆にこの状況を楽しみ始めてる自分にちょっと驚く。
実は私は今、大学で日本史を専攻してる学生だ。
だから一般人よりは多少歴史に詳しいんだけど、まさか本物に会えちゃうなんて。
「して……の世では俺はどう伝わっとるのだ?」
なんか信長様が期待に満ちた目をして語り掛けて来た。
「えーっと……
信長様は1582年、天正10年にですね、
明智光秀さんに謀反を起こされて本能寺で自害……
された事になって…ます。」
私は中学生でも知ってる当たり障りの無い史実を話す。
「ちぇーっ……
やっぱ本能寺で死んだ事になってんだにゃあ、俺は。」
「だから俺(おい)はそう言うたぞ。」
豊久さんが鼻を鳴らしながら得意気に言った。
「そーだけどよぉ……」
不貞腐れたみたいに唇を尖らせる信長様が何だか気の毒で、私はその場を必死で取り繕う。
「あっ……でも、信長様はとっても有名ですよ。
私の居た時代でも知らない人は居ないと思います。」
「お……本当か?」
信長様の目がキラキラと輝き始めた。
良し、もう一押し!