第5章 Burning quintet
首筋を舐ぶっていた舌は彼の片手に暴かれた胸元に下りて行き、そしてもう片方の手は足の付け根を柔々と這い回る。
土方歳三は絶妙なバランスを持ってその重さで私の身体を押さえ込み、身を捩る事すら許してはくれなかった。
せめて大声で拒絶すれば……
「止めて」と泣き叫べば良いのに……
何故か私は出来ないで居た。
そうしてしまったら……私の負けのような気がしたから。
どんな逆境でもさらりと笑って正面から突っ込んで行く豊久に、みっともない女だと思われたく無い。
今はただそれだけの想いで、この辛酸を耐えている。
だけどこの私の身体を這い回る舌が、指が、豊久の物であったなら……と願わずにはいられなかった。
そうか………私、豊久の事が好きなんだ。
やっと気が付いたのに、今なら豊久に私の全部を捧げてしまいたいのに……もう遅いのかな。
この人に汚された身体を、豊久に見せる事なんて出来ないよ。
「……っ………豊久。」
無意識に呟いたその名前に、土方歳三の動きが一瞬止まった。
「ほう……まだ他の男の名前を呼ぶ余裕があるとはな。
手加減する必要は無さそうだ。」
「違っ………」
否定の言葉を言い終わらない内に私の胸は外気に晒され、その先端にカリッと歯を立てられる。
「んっ!」
ビリビリとした感覚が背筋を這い上がり、ビクンと身体を弾ませた私を見て彼は酷く満足そうに笑った。