第13章 AFFECTIONATEー深愛ー
大きな鼾を掻いて気持ち良さそうに眠る豊久に自然と顔が綻んでしまう。
もっともっとその姿を見ていたいけど、今の私にはもう時間が無い。
私は名残惜しさを振り払い、豊久の腕の中から脱け出した。
そう言えば…こうやって眠る豊久から離れるのって2度目だな。
あの時はその後、義経さんに拐われちゃって……
豊久の側に戻りたくて仕方無かったっけ。
私は声を出さずに思い出し笑いをした。
それがまた同じ事を繰り返すなんてね…。
私が自分から居なくなったなんて知ったら、きっと豊久は凄く怒るだろうな。
もしかするとメチャクチャに暴れちゃうかも……。
「信長様と与一さんを余り困らせないであげてね。」
豊久を起こしてしまわないようにそっと頬に口付けて、私は一人で部屋を出た。