第12章 REUNIONー再会ー
私が息を飲み身体を強張らせても、源義経は全く悪びれた様子も無く笑顔で部屋に入って来る。
「どうやら無事だったみたいだね。
思った通り、土方は君に手を出せないようだ。
あんなに乱暴者の癖に変な所で律儀なんだから……。」
また何か企んでいるのかな?
私は最大限の警戒心を以て、じりじりと距離を取った。
「ああ、そんなに警戒しないでよ。
何て……今更僕が言えた義理でも無いけどさ。」
源義経は少しだけ申し訳無さ気に息を吐くと、突然私に向かって手を差し伸べる。
これはどういう意図があるのだろうとその手をじっと見据えると
「おいで。
………此所を出るよ。」
自分の耳を疑う言葉が投げ掛けられた。
「………え?」
「無茶な話かも知れないけど、今だけは僕を信じて。」
「それは……………無理です。」
当然だよね。
あんな風に私を拐った人を信用しろだなんて、無理に決まってる。
源義経も私の返事は想定内だったようだ。
「だよねえ…」と困った顔をして小首を傾げる。
だけどその後、一際低い声で囁かれた言葉に私の胸はドクンと高鳴った。
「君を救う為に漂流者(ドリフ)が来てる。」