第14章 その後·····
~誰かside~
「………来るのが遅れてしまってすまないね」
私の言葉に…彼女…犬猫山くんは首を振った。
「いえ。平和の象徴が実質引退されたのですから…多忙なのは当たり前です」
彼女が椅子に座るように気遣い、私は言われるがままそれに甘えさせてもらった。まだ傷も癒えておらず、今もズキズキと傷んでいた。
「……個性のこと…聞いたよ」
「……ええ。今の私には動物を操ることはできません」
彼女の言葉に私は拳を握りしめた。ヒーローを目指していた彼女にとって…最悪の出来事だった。既に刑務所に捕らえた彼にいくら聞いても…彼女の個性について分からないままだった。すまない…どんな言葉をかければよいのか分からず、私はそう口にした。奴の隠れ家で意識を失った君を見た時を思い出し、再度あの思いが駆け巡る。君が本当に助けを求めている時に……私はいつも遅いのだ。だが、彼女は私の手を握って、こう言った。
「……そんな顔をなさらないでも…私の個性は無くなっていませんよ、八木さん」
ハッと顔を上げると、思ったより近くで視線が重なった。ニコッと微笑む彼女に、私はどういう意味か…そう尋ねようと口を開いた。そんな私の手を彼女は引いた。
「八木さんには特別に見せてあげますね、私の個性」
クスクスと…まるで幼い少女のように笑う彼女。犬猫山くんは窓際まで私を連れていき、そして私の身体を抱き抱えた。私は驚き、思わず声が出る。
「……おい、いるか。犬猫山…お前の個性について話が……」
さらにタイミングが悪く、相澤くんが病室を訪れる。開かれたドアから、抱き抱えられる私と犬猫山くんを交互に見た。
「な…一体何を……おいっ!!」
ふわっ…体が宙に浮いたかと思うと、彼女は私を抱えたまま窓から飛び降りた。