第14章 勇気を*チョロ松
side.チョロ松
何気なく通った花屋の前
大きなバケツに入った花を運んでる女の子が目に入った
バケツを店内に置くと小走りに次のバケツを取り行く
小柄でパタパタ走ってて、小動物みたいで可愛い
思わずジッと見てしまった
ふと足を止めてこちら向かってくる
僕の胸の辺りより少し下に頭がある・・・ほんとに小柄だな
「何かお求めですか?」
チ「あ、えと・・・」
しまった、不躾に見つめていたなんて言えないし、なんとか誤魔化さないと
チ「一輪指しでも・・・か、かか、飾ろうかなって」
「素敵ですね!よかったら中にどうぞ」
パッと明るい笑顔で言う
誤魔化したのが申し訳なかったかな
「花好きなんですか?」
店内へ案内してくれる彼女に付いていくと訪ねられる
チ「いや、あの…最近興味が出てきた、というか」
苦しいかな、ホントは興味ないけど
楽しそうに働く彼女を見てただけだから
「そうなんですか?男性でも花に興味があるって嬉しいです!」
柔らかく微笑みながら言われる
罪悪感が・・・
「ガーベラやバラがいいですかね~」
ん~、と真剣な顔で唸りながら1本1本手に取っている
チ「バラ・・・」
「へ?」
チ「あぁ、いや・・・花って言ってすぐ浮かぶのってバラだなって」
ガーベラって聞くことはあってもどんな花か分からないし、バラなら無難かな
「分かりました、バラですね!」
1本手に取り、パタパタ走っていく
付いていくと切り口を整え、ビニールに巻きリボンをつけられていた
贈り物じゃなくてもラッピングするのかな
「どうぞ」
差し出されたバラ
リボンは緑
「勝手にすみません。初めてのお花みたいなので包んじゃいました」
なんだか彼女からプレゼントされたみたいで、くすぐったくなる
チ「・・・ありがとう」
胸が熱くなる
一目惚れ、してしまったようだ・・・