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松の間

第12章 心を*トド松


「ごめん、ありがとう」

ト「気にしないで。一之瀬ちゃんのためだもん」

けれど、こんな形で彼女の心の動きをみるなんて
初めてみるのが恐怖と悲しみなんて

「トドちゃん。私ね、押し倒された時トドちゃんが頭に浮かんだの」

2人並んで床に座り込んだままでいると、一之瀬ちゃんが話し始めた

「目の前にいるのがトドちゃんなら怖くないのにって」

膝の上で手をギュッと握っている

「そしたらトドちゃんが大事な子って言ってくれたから…嬉しかったの」

ト「一之瀬ちゃん…だって僕君が好きだもん」

でもさっきのことが一之瀬ちゃんを傷つけてる
もしこの先僕とああいう場面になった時、怖がらせてしまう
それなら今このまま、放課後に会う友達の方がいいのかも知れない

そう考えていると僕の袖を引っ張りながら

「トドちゃんなら、大丈夫だから」

なんて顔を赤くして言う
そんなことを、そんな顔で言わないでぇ!

ト「ゴメンね、一之瀬ちゃん」

「え…んぅ」

僕も男だもん、好きな子にあんな風に言われたら我慢出来ない

ト「は、ん…ふぅ」

口の奥で縮こまる一之瀬ちゃんの舌に、少しずつ絡めていく
ぎこちないながらも一生懸命応えてくれた
名残惜しいけれど、唇を離す

「はぁ…トド、ちゃん?」

ト「今日はここまで。暗いし帰ろう」

手を差し出しながら言う

ト「君を僕でいっぱいにして、怖いのがなくなったら君の全てをちょうだい?」

「トドちゃん…うん、待っててくれる?」

僕の手を取りながら、微笑む一之瀬ちゃん

ト「うん!僕の彼女だからね、もう誰にも手出しさせないよ。ゆっくりでいいから」

そう、先は長い
君が隣に居てくれるなら、僕はいくらでも待つよ
この帰り道の様に暗くても、僕が君を照らすから




-fin-

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