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俺のコタンは、あなたの腕

第1章 俺という人間




まずは俺の事を話そう。

母親はアイヌ。
父親はシサム。
生まれたのは札幌。
育ったのは小樽。
両親は既に他界。
俺は根なし草。

アイヌ語は堪能ではない。
多少話せるくらい。
日本語が母語。

生活の拠点は主に、人の多く住む街の繁華街。
後は陸軍の知り合いの所。
あとは、アイヌたちが使うクチャという仮小屋。
まぁ、こちらは隠れ家に使うため、自分であちらこちらに建てた物。

あぁ。あとは札幌世界ホテル。
家永カノとかいう女男は俺の友人だ。
部屋を借りて仕事をする事もある。

仕事?

俺の仕事が気になるかい?

男娼だよ。

個人で客を取るんだ。
俺はこれでも顔が広い。
元囚人だという家永の伝や、陸軍の知り合いの伝だのが俺の客だ。
あとは、ホテルに来る客を俺の客にする。

稼ぎはまぁまぁ、良くも悪くもない。
一人気ままに生きるくらいなら何の問題もないさ。

おや。
仕事だ。

「いるか?」
「あぁ。いるよ。」

そうだ。
名乗っていなかった。

蜂名、蜂名 十兵衛という。
よろしくな。





(ク・セマシテク)

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