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好きだ。-烏達の恋-

第7章 大王様、登場



私達はバスに乗るため、青葉城西の校門へ向かっていた。選手達はみんな強豪の青葉城西に勝った事で自信がついたのか、試合前よりも表情が凛々しくなっているように見える。
6月にはインターハイ予選が始まる。きっと今日の様に、みんなの活躍がキラキラと輝くんだ。そう思って微笑んでいると、前を歩く澤村先輩が小さな声で呟いた。


澤「このままじゃ、駄目なんだよな。」

貴「え?」


先輩に何故か聞こうとしたとき、先頭にいた日向君と影山君が立ち止まったので全員歩くのを止めた。一番後ろを歩いていた私は止まりきれず、澤村先輩の背中に軽くぶつかった。


貴「す、すみませ」

及「やっほ~飛雄ちゃん♪」


先輩への謝罪を途中で遮ったのは、テンションの高い正直聞きたくなかった声。


影「及川さん」

及「…と、新しいマネちゃん♪」

貴「うっ」


やっぱり、私は及川さんが苦手だ。なんか、怖い。
震える私の手を、澤村先輩がみんなに見えないように握ってくれる。


貴「…///」


影山君は及川さんの前に立って、しっかり相手と向き合っている。


及「今日は最後だけだったけど、もっとサーブ鍛えとくから、よろしく♪」


あの腕をもぎ取る様な強烈なジャンプサーブを、更に強化してくる…しかも次は絶対に最初からスタメンだ。
月島君はあからさまに嫌そうな顔をしている。日向君はきっとカタカタして…


日「お、俺達もレシーブ練習します!!」

月「ちょっと!離してよ!!」


(…ない。)


怯えるどころか喧嘩売ってる?!しかも月島君も巻き込んでる。


及「レシーブばかりは、一朝一夕に出来るようにはならい。それは、主将君が一番良く分かってると思うけど。」

澤「…」


澤村先輩は及川さんと睨み合っている。誰も動けないくらい、空気が重くのし掛かる。私は無意識に先輩と繋いでいる手をぎゅっと握る。


及「まあ、頑張って上がってきてよ。俺は」


"ビシッ"


及「この可愛い後輩を、正式な試合でボコボコにしてやりたいんだからさ。」

影「?!」


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