第10章 新しい仲間
想像以上に平均年齢が若い"烏野町内会チーム"。
金髪のお兄さんは滝ノ上さん。烏野商店街の電気屋さんの息子で、嶋田さんは嶋田マートの息子。そして烏養コーチは坂ノ下商店の息子…皆さん何気に御曹司ですが………?!
月「もっとオジサンが来ると思った。」
貴「うん。」
月「…え?真似しないでくれる?」
貴「意見に真似も何もあるか!たまたま同じだったの!」
月「ふぅん。」
なんで月島君はこんなに意地悪なのさ!!
前に山口君から"ツッキーは気に入った子としか張り合わないよ!"って言われたけれども!!
言い返す言葉に詰まった私は、月島君の側を離れて武田先生の方へ向かう。
先生とコーチが話してる横で、西谷先輩が浮かない顔をして立ち尽くしていた。
それに気づいたコーチは西谷先輩に声をかける。
烏「なんだお前、怪我か?」
澤「いえ!こいつはちょっと訳ありで…」
西「……」
西谷先輩はこの前言っていた。
"このチームで勝ったら…旭さん居なくても勝てるって証明みたいで。何か嫌です。"
別に盗み聞きしてたわけではない。ただ、聞こえてしまったのだ。
西谷先輩がどれだけ東峰先輩を尊敬しているのか。大切な"チームメイト"なのか。その一言で痛いほど分かった。
烏「なんだ。怪我じゃないの?だったら町内会チーム入ってくれよ!人数足りねぇんだ。」
澤「ああ。そう言うことなら。」
西「…」
西谷先輩は、なんとも言えない表情をしてコートへ入る。
"辛い顔"
東峰先輩と、どこか被る。
貴「に、西谷先輩!」
西「?」
自分で気がついた時には、もうすでに西谷先輩を呼び止めていた。
慌てているのを誤魔化すように、私は言葉を絞り出す。
貴「せ、先輩のスーパーレシーブ、見たいです。」
西「おう!任せとけ!!ニカ」
(…凄い良い顔。)
今の西谷先輩の様な笑顔が
みんなに戻りますように。