第1章 はじまり
………お父、さん
何で。
どうして。
起きてよ。
お父さん。
起きて………━━━━━
……こら!もう起きなさい!」
貴「…………うん、おきたよぉ」
また、この夢。
私が東京から宮城に越してきて、約3週間。
毎日、この夢を見ている。
半年前の辛い記憶。
思い出したくないのに、夢にまで見るのは、きっと、新しい生活が不安だから。
下に降りると、リビングには朝から元気な祖母が、ご機嫌で朝食を並べていた。
祖母「さ!早く支度して、ご飯食べなさい!」
貴「うん。」
私は今日から高校生。
通うのは"烏野高校"。
理由は、大好きなお父さんの母校だったから。
祖母「黎、お父さんに挨拶。」
貴「うん。」
"チーン"
貴「いってきます。」
ねぇお父さん。
私、ちゃんと笑えてるかな……