第5章 EP誠凛2 カントクと幻の6人目
(あら? 今の子たち伊月君のファン?)
僕が二人の方を向くと、目が合ってしまった。
「あの・・・・・・」
「ん?」
目の前まで黒子っちが来てた。
え? え?
今、向こうのリコたんの隣にいたよね?
「今の方々はお知合いですか?」
「違うけど。」
急にそう聞かれても、トリップしたばかりだしわかりません。
「ちょっと黒子くん!?」
リコたんも慌ててこちらに駆け寄る。
「そうですか。」
「えっと知り合い?」
「いえ・・・・・・」
なんで僕話しかけられたの?
「ねぇ。」
「はい?」
今度はリコたんに話しかけられた。
「今の人たち知り合いのファンみたいなんですけど、何か言われました?」
「言われてはいないけど、僕から少し声はかけたかな。」
うーんどうにも回りくどい。
聞きたいことはなんとなくわかったから、ご丁寧に教えてあげましょうか。
「えっと、今の子たちは伊月くんのファンで、イジメられてたみたいだから助けてあげただけです。」
「そうだったの。」
「突然声をかけたりしてすみませんでした。」
納得したようにうなずくリコたんとお辞儀をしながら謝る黒子っち。
「気にしないで、勝手にやったことだし。・・・・・・それよりバスケ部カントクのリコちゃんと黒子くんだよね?」
「私たちのこと知ってるの? ってえ? 黒子君が見えてる?」
ようやくその反応が。
そうだよ、本人も反応してくれなかったけど僕は黒子っち認識できるんですよ。
「それはもちろん。・・・・・・むしろ普通に見えてます。」
僕は生き生きと答えた。
「驚きました。さっきからあった違和感はそれだったんですね。」
淡々と答える黒子っちだけど、表情は嬉しそうだ。
可愛いなぁ。