第6章 空条 承太郎(ジョジョ)
~姫咲 萌~
「ねぇ…承太郎」
何時も何時も我慢して、自分の事は後回しな優しい…優し過ぎる承太郎。
「悲しい時はさ…」
だからこそ、彼は人に頼ったりしなくて全てをその大きな背中に背負って行ってしまう。
「泣いたって良いんだよ?」
微動だにもしない承太郎は…やっぱり悲しんでいるんだろう、その悲しみの涙さえも圧し殺して平気そうな顔をする。
「少しは私にも頼ってよ…これでも私は承太郎の仲間なんだよ、これでも私は承太郎の幼馴染みなんだよ…」
「……そんな顔してる奴に言えるかよ…」
「俺にだって頼れよ、お前も俺の事…言えねぇぜ」
仰け反ってガラスに映る自分自身を見詰める。
嗚呼…本当に駄目だね…、私はガラスに映る涙を瞳に溜めた可愛く無い顔を血で消していく。
「おら、これで血を止めとけ…傷口を抉るな」
少し汚れたハンカチで傷口を丁寧に結んでいく承太郎が何時も通りに見えた…なんて言えもしない。
他の人達ならばそう思うだろう、何て冷血な男なんだと…何て酷い男なんだと…でも私はそうは思わないし何よりも思えないんだ。
とても悲しげな瞳をしているから。