第7章 7
「エルヴィン、あの指輪って」
ノアが出て行った部屋
「あぁ、捨てられないんだろうな」
物も、思い出も
「今まではつけてなかったのに」
忘れようと必死になっているノアを見ているハンジはノアの突然の行動を不思議に思っているようだ
「二度殺すことはできないと思ったんじゃないかな」
死んだ人間は生き残った人間の記憶の中だけで生き続ける
残った人間が忘れてしまえば、二度目の死を迎える
「ノアは優しいからな」
そういうハンジは昔の幸せそうな笑顔のノアを思い出す
「…命取りにならなければいいが」
後悔の記憶は後に自分を殺す
ノアが決断を躊躇し、命を危険に晒すことがないよう
エルヴィンは祈ることしかできなかった