第1章 1
捕まえた窃盗どもに手錠をかけ、エルヴィンの前に並んで膝をつかせる
ノアはエルヴィンの横に立ちその光景を眺めていた
「いくつか質問をさせてもらう
これをどこで手に入れた」
そう質問するエルヴィンが示すのは立体機動装置
「立体機動の腕も見事だった。
あれは誰に教わった」
質問に答えることのない窃盗ども
エルヴィンはリーダーに近づき変わらず質問を続ける
「お前がリーダーだな、兵団で訓練を受けたことは」
少しの間があってからリーダーが俯いていた顔を上げエルヴィンを睨むように見る
その瞬間、窃盗どもの後ろにいたミケがリーダーの頭を掴み地面に叩きつけた
ドブのような水溜りに
「っテメェ!」
「もう一度聞こう。
立体機動をどこで学んだ」
一向に口を開けないリーダー
もう一人の背の高いやつが答える
「誰にも習ってない、独学だ!」
「…独学だと? 信じられん」
「この薄暗いゴミ溜めから少しでも起き上がるために身につけたんだ
光が当たって当然のお前らにはわからないだろうな!」
「いいから、アニキから手ぇ離せ!兵士だからって威張ってんじゃねぇよ!」