第6章 6
あの次の日から、ノアは分隊長となり、指揮をとるようになった
あれ以来、アンナはノアの涙を見ていない
また、どこかで隠れて泣いているんじゃないか
いつも心配になる
ノアは一人で抱えすぎるから
もう少し頼ってほしい、甘えてほしい
「…絶対に守ります」
「あぁ、俺も」
突然聞こえた声に反応し、素早く後ろを見る
そこには、リアムが立っていて
「…いつからいたのよ」
「ついさっきだよ、ノアさんが立体機動で飛んでいったあたり」
あ、そ
そう返せば、冷てぇななんて言われる
「お前ノアさんの前とは大違いだよな」
「そりゃあ、好きの大きさが全く違いますから」
アンナはふいっとリアムから視線を外してノアが飛んでいった林を見つめる
「そんなに好きなのかよ」
「当たり前でしょ」
「まあ、俺もだけど」
そう言うリアムの目には憧憬と恋情が浮かぶ
リアムもノアに助けられたことは幾度とあり憧れの存在であった
「命に代えても守る」
二人の目には強い思いが込められていた