第6章 6
アンナが調査兵団に入団したばかりのころ、すでに副分隊長として実力を発揮していたノアと同じ隊に入ることになった
「あ、アンナ・ブラウンです、よろしくお願いします!」
緊張してガチガチのアンナ
他の新兵も自己紹介をするが、動きが硬い
「ノア・マーティンだ、よろしく」
緊張している新兵を気にも留めず、いつも通り冷たい口調で淡々と自己紹介をするノア
このときアンナの目にはとてつもなく恐怖に感じただろう
実際、新兵の間でも
ノア副分隊長って綺麗だけど怖い
なにに対しても冷たそう
笑ったりするのかな?
などと口々に話していた
このときはアンナもその中の一人だった
凛とした雰囲気を持ちブレることのない姿勢
美しいと思うと同時に冷酷さを感じた
それから、ノアに対するイメージが変わらないまま、アンナたちにとっては初めての壁外調査が始まった
今にも泣き出しそうな新兵や呪文のような言葉をぶつぶつと繰り返す兵士もいた
「総員出立!前進せよ!」
あぁ、遂に始まってしまった
震える手で手綱を引き、馬を走らせる