第3章 3
「今日、また一歩我々は前進する!訓練の成果を見せてくれ!人類の力を思い知らせてやるのだ!」
団長キースの言葉に奮い起つ兵士たちから雄叫びがあがる
白い馬に乗るノアはゆっくりとあがる門をじっと見つめていた
「第二十三回壁外調査を開始する!前進せよ!!!」
キースを先頭に次から次へと進む兵士たち
ノアも手綱を引き馬を進める
壁から出る門をくぐる瞬間
何度経験してもその瞬間は心が高揚する
果てが見えない地面
壁に遮られない景色
透き通る空気
全てが壁の中とは違う
何度も見た世界をノアでも毎回そう思うのなら、初めて壁外にでた者の喜びはどれほどのものか
ノアが気になるのはリヴァイの反応だった
あの三白眼に映った壁外の景色はどのように見えているのだろうか
ノアが最初に見た景色は恐怖からか色が無かった
他の兵士もそうだっただろう
壁外に出る喜びを感じたのは二回目の調査からだった
だが、その二回目の景色を見れないでいなくなる兵士も少なくない
リヴァイたちにはそのような思いはしてほしくない、ノアの切実な願いだった