第13章 13
「だが、私は多くの兵士を見殺しにした…
守ることができなかった」
空を見上げればそこには半分に欠けた月
それは多くのものを失くした今の自分のよう
「……そんなの死んだ奴らがそれまでだったということだろ
それが実力だ
お前に守る義務はない」
「……言っていることが矛盾してないか」
「あ?んなことどうでもいいだろ
俺は自分の大切なものを守る
ただそれだけだ」
「………」
「忘れたとは言わせねぇぞ
お前は笑っていればいい
絶対に一人にはしない」
「っ、……忘れられない相手がいても?」
何年経っても薄れることのなかった記憶
知っているのは一部の人間だけ
「それがあったから今のお前があるのだろう
……無かったことにする必要はない」
とても暖かいリヴァイの言葉
それは、悪循環に陥っていた心を優しく包み込んでくれるようで
「…ありがとう」
救われる思いだった