第11章 11
前を行く兵士にならって手綱を引いた
もう何度も共に苦難を乗り越えたノアの相棒
壁の中とは違う風に吹かれるたてがみは真っ白く気持ちよさそうだった
門をくぐると広がる緑と青
広大な草原と壮大な青空
雲ひとつない晴れ晴れとした空からは直接当たる陽が痛い
どこまでも続く空に吸い込まれそう
むしろ、天から呼ばれているような気さえした
「長距離索敵陣形展開!」
エルヴィンが団長になってから始めた長距離索敵陣形
今までのどれだけ巨人を倒すかという考え方が、エルヴィンの逆の発想でどれだけ巨人と遭遇しないかという考え方になった
それでも犠牲は避けられない
「分隊長!索敵から外れた巨人が近づいてます!」
後ろを見ると5m級が一体ドタドタと音を立て走っている
「……このまま走るぞ」
まだ距離はある
無理に迎え討たなくても逃げ切れるのならそのほうがいい
無駄な犠牲は必要ない