第10章 10
部屋から出たリヴァイとノアの間には靴のコツコツという音だけがなっている
ここ何日かは意識的にリヴァイのことを避けていたから少し気まずい
無言で前を歩くリヴァイ
自分より少しだけ高い目線
身長は高くなくとも、ミケや男兵士と同じ
いや、それ以上に鍛え上げられた体
“ノアは、リヴァイのことが好き?”
答えられなかったその問い
“後悔しない選択をするんだ”
捨てられない想い出
色んな思いが交差して
自分の本当に大切なものがわからなくなりそうだ
ピタリ止まった足はリヴァイとの一定だった距離が徐々に開き始める
「…何してんだ」
聴こえなくなった足音に気づいたリヴァイはその場に立ち止まり、ノアの方に振り返る
「リヴァイの大切なものは、何だ?」
少し離れたそこにいるリヴァイの瞳を見つめる
その瞬間三白眼がゆらりと揺れた
「はっ、いきなりなんだ」
ほぼ無意識に発したその言葉
すぐに我にかえり
すまない、なんでもない
リヴァイの横を通り過ぎようとした