第9章 9
こんなにも長く感じる沈黙は初めてだった
だが実際はそこまでの時間ではない
何を言えば良いのか、
ごめんなさい?
返事を聞きたいわけではないといっているのに
ありがとう?
今までは冗談だと本気で捉えていなかったのに
ミケの目が、表情が真剣だからこそ、本気だとわかる
そんな相手に軽い気持ちで言葉を投げかけるなどできない
それでも、沈黙が続くのも後から辛くなる
どちらかの言葉を言うならば、ごめんなさいよりも、ありがとうのほうがいいだろう
そう思い、決心してミケの目を見た
ありがとう
そう言おうと口を開く
しかし、それが音として発されることはなかった