第5章 取り調べ
「で、でも…んじゃっ、パーカーはっ?同じヤツ持ってたよっ?俺が借りたの、絶対同じだった!ほらっ、こないだ着てたじゃん、グレーの!」
「グレーの…。あ、おニューの?」
「そう!自慢してたヤツ!おそろいなんでしょっ?ペアルックとか、コッソリしてんでしょっ!?」
「…(自慢したつもりはないが)。…あと。先言っとくけど、俺、ペアルックとかマジ無理だから。恥ずかしすぎ。ゼッテーやんねぇから」
「でもっ!同じパーカーで、しかも同じ色の、同じデザインだよっ?アレ偶然っ?あれでも偶然っ?」
「いや、だから。マジ偶然だって。俺は向こうが持ってることすら知らなかったし…。花ちゃんと趣味合うのかなぁ?」
「…」
誤魔化してんのかな。これ本気?演技じゃなく??
「ていうかさぁ…。今までの話を総合すると、俺と花ちゃんの趣味が合ったのって、結局パーカーだけじゃね?」
「へ?」
「マグもタオルも貰いモンだから、別に俺が選んだ訳じゃないし。俺の趣味って訳じゃねぇし…。パーカーだって、まあそこそこメジャーなブランドの新作だよ?持ってる人、結構いると思うけど」
「うっ。そう、言われると…」
そんな気も…
なに
じゃ、ひょっとして全部、俺の早とちり…?
「てかさ~…。今なんつった?パーカー借りた?タオルも?」
「…へ?」
「何がどうなったらそういう状況になんの?」
「うっ」
「アナタこそ、花ちゃんちで一体何をやってたわけ?何やらかしたわけ?」
「!」
ニヤニヤ、また目元が激しくエロくなる翔ちゃん。
…ヤバイ。
もう…コッチには攻撃する武器がない。
てことは…
これはいわゆる、形勢逆転ってやつ…?