第14章 小さくなった魔王様
「魔王様またお茶してるよ~」
「好きだね~」
「クリス、始様になさい」
聖クリス、伊地崎麗奈、天童院椿は地球がゆっくりと回るスクリーンを見ていた。
ツキノ寮に標準を移し、様子を伺えば映った人物は魔王様こと霜月隼。
共有ルームに置かれるソファーに座り、優雅にお茶をする姿は様になっている。
「あっ、小春ちゃん!」
「小春の作ったお菓子食べたい!」
「そうね…久しぶりに戴きたいわ」
クリスたちの見る画面には小春が作った紅茶のお茶菓子が映し出される。
「小春ちゃんに会いた~い!」
「地球行く?」
「ダメよ、クリス」
「えー…」
クリスを止めたのは花園雪。
雪だけではなくそこには他のメンバーも集まっていた。
「私たちは女神候補生なのよ。仕事以外で地球にしょっちゅう行っていては、女神にすらなれないわ」
「用事が無いと行っちゃ行けないの!?」
「そうよ」
「じゃあ、用事を作ればいいんだろ?」
「えっ!?」
クリスと雪の間に入ってきたのは元宮祭莉。
その手には見慣れない機械があった。
「丁度発明品が出来た所だったんだ」
「ふっふっふ…奇遇ね」
祭莉の発明品を見て怪しげな笑みを浮かべるのはクリス。
「私も今日コレを作ったわよ!」
じゃーん!と、クリスが取り出したビンの中には異様な色をする液体。
「ちょっと!この間みたいにツキウサになるのだけはイヤよ!」
「大丈夫!…小春ちゃんに当てて…っと」
「この蓋を開けて…小春ちゃんにかけ……!!」
祭莉が発明品のスイッチを、クリスが異様な液体を小春を向けた時には既に遅かった。
小春を写して居たはずの画面には魔王様の姿しか見えなかった。
「あ~~!!」
女神候補生たちが声を上げたが止める甲斐も無く、それらは魔王様に向かって行ってしまった。