第6章 ☆魔王様と小さな魔王様
「やあ、始」
「隼か」
ツキノ寮の共有ルームに現れたのは霜月隼。
彼の腕に抱かれているのは彼そっくりな男の子。
「珍しいな…しゅんと2人で来るのは」
「小春は家の掃除が忙しいって……遊んでくれないんだ。どうしてだろうね?」
隼はソファーに掛けていた始の隣に座ると彼の膝の上に息子をちょこんと掛けさせた。
「小春が忙しいのは隼がやたらと家を大きくしたからだろ?」
ツキノ寮よりも広く、大きな霜月邸。
子供が出来たと聞いた翌日からツキノ寮の隣の敷地に何台ものトラックに数え切れない大工が集まりあっという間に霜月邸を完成させた。
主は満足気に眺めていたが、当の本人は顔を青ざめていた。
それはプロセラメンバーも同じだった。
性別もわからない頃から既に男の子用と女の子用両方の部屋も用意されていた。
プロセラメンバー曰わく半分は必要無いとの事だった。
「それにしてもまた大きくなったな」
「そう?始が言うなら大きくなったかもしれないね」
「ちゃんと父親してるのか?」
「もちろんさ!オムツも変えるし、夜泣きにも付き合うし、おっぱいは…あげられないから見ているよ」
「最後のは余計だ」
「ゲップをさせるのは僕の仕事だから付いていないとね」
誇らしげに語る隼に始は内心驚きを隠せない。
始と違い隼は箱入り息子として育てられ、世間知らずな所が多々あり、それは今でも変わらなかった。
同じ見た目の息子は一体どんな成長をするのか…
「魔王様にだけはなるなよ」
「始~、それは一体どういう意味かな?」
「さあな…」