第1章 魔王様と電話
Procellarumとしてデビューしたのはつい最近の事だった。
初めてスカウトというものを経験した。
スカウトを受けてからはあっという間にデビューの日が来て今に至る。
京都に実家がある僕は今東京の寮で暮らしている。
~♪
スマホが鳴り画面に表示されるのは愛する彼女の名前。
【小春】
「やあ、お姫様。魔王様に何か御用かな?」
『あ、別に…用事は無いんだけど……今どうしてるのかな?って思っただけ』
ダメだった?そう聞く小春の声はいつもと違って元気がなかった。
「何かあった?」
『どうして?』
「いつもの小春じゃないみたいだったからね」
『そ、そう?』
「話してみな?」
『…………い…』
「え?」
小春の声は小さく聞き取ることが出来なかった。
『隼に…早く会いたい』
スマホ越しに聞こえた声に僕は大きく目を開いた。
最近は毎日仕事。
毎日アイドル。
歌番組、ラジオ、雑誌の撮影。
時には地方にだっていく。
その繰り返し。
アイドルと言う事もあり、デートは禁止。
本当は恋愛もだったけど、アイドルになる前から小春とは付き合っていたからその事だけは社長が許してくれた。
「仕事ももうすぐ終わるから…そしたら直ぐに会いに行くよ。お姫様」
電話を切るとふぅ…と息を吐く。
「隼、出番だぞ!」
「はーい…」
ソファーから立ち上がると僕は海の後に着いていく。
6人で立つステージに向かった。