第9章 暴徒
『…っ!!…なんて、酷い……。』
歩いていた女性はいきなり引き摺り倒し、その上にヘルメットの様な物を被った人が跨った。
そして……。
何度も、何度も…何度も何度も……。
ハンマーのような物で女性を殴りつける。
殴り続けている変なヘルメットのような物を被ったその人の顔はどうも見えそうにない。
……結局、その人は女性が動かなくなっても殴ることをやめることはなく、動かなくなっても尚、しばらくの間殴り続けていた……。
「…ひっでぇな。何だこりゃ……。
…つか、このヘルメット、いかにもって感じ?
ていうか、こんな事して外灯スキャナーにも引っかかんなかったの?なんで反応しないんだよ。……壊されてた?」
その場の誰もが思ったであろう疑問を、縢くんがブツブツと呟き始める。
これ以上は見ても無駄だと思ったらしい宜野座さんが動画を止めた。
「いいえ。スキャナーは壊されてはいないわ。正常に作動している……。」
六合塚さんがヘルメットのような物を被った…おそらくは男性であろうと思われるその人の色相や犯罪係数のデータや数値を出す。
「……綺麗すぎるな。
人をこんだけ殴っておいて…ましてや殺しているんだ。
こんなにクリアなわけがない。」
征陸さんの呟きに縢くんが続く。
「その場で"PSYCHOPATH"を捏造したって可能性はねぇの?」
「…馬鹿ね。
そんなことを考える時点で色相は濁るし、そもそもそれをする為には巨大な装置でも引き摺ってない限り無理よ。」
縢くんの呟きを六合塚さんが全否定した。